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■さいはて/ハートバザール


さいはてさいはて
(2001/04/25)
ハートバザール

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 2002年に解散してしまった男女混合のポップバンドであるハートバザール(以下ハバザ)。そのハバザが唯一残したフルアルバムが今作である。誤解を恐れずに言えば、ポップスの王道をいっている作品であるが、そのストレートなポップさとは裏腹に、何処かねじ曲がった感覚も同居しており、石井皐月の詩の世界は愛だの恋だのを歌いながらも、安易な共感なんか求めない病的な世界が毒として効果を発揮しており、ポップでありながら甘い狂気をハバザは鳴らしている。



 石井皐月の歌は中性的でいて伸びやかな物である。しかしその少年性を持った歌声は愚直なまでにストレートでありながらも、その素直さが病的な感情と隣り合わせになっている。第2曲「コレクター」の素直さと狂気が結びついた狂気的世界を純度の高いポップスに仕上げてしまっている事に驚きを隠せない。楽器隊の演奏も王道のポップバンドのメロディーを持ちながらも、一筋縄では全くいかない。鈴木玲史のギターはニューウェーブやポストパンクを通過した鋭さを持っているし、永井紀子のベースは凄まじい躍動感を持ち、石井皐月の歌をしっかり支えている。第7曲「共鳴」なんかはハバザの尖った部分を全面に押し出した仕上がりになっており、ポップさと狂気値の高さがギリギリのバランスで結びついた良曲だと言える。楽曲全体を通してメロディーの透明度の高さをしっかりと守りポップスとしてのクオリティの高さを持っているのもナイスだと言える。第6曲「はらいそ」の様にシンプルで音数の少ない楽曲などからもそれは伺える。何より第10曲「北風と太陽」の様な往年のポップスの王道を素直に突き進んでいる楽曲から感じる事が出来るのだが、シンプルな楽曲のメロディーやコード進行の普遍性と不変性の高さはそこら辺のバンドには絶対に出せない筈だ。



 ベクトルはまた違うけど、川本真琴の1stアルバムである「川本真琴」の様な、基盤になってる楽曲の素直なポップさと、ねじ曲がった感覚と、思春期的純度を放つ歌の世界を今作は持っている。石井皐月の精神世界は色彩豊かでありながらどこまでも素直なせいでグチャグチャとした物だ。それを最高に素直な歌のメロディーが具現化しているのだ。今ではこの様なバンドは本当に少ないが、ポップミュージックの隠された金字塔だ。この歌の世界は本当に残酷なまでに素直だ。
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メジャーの物からマニアックな物まで良い音楽を幅広く紹介してこうと思ってますが、ハードコアとかが多目だったりします。他にもコラム書いたりもしています。

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