■New Noise Literacy 001 "Engage"(2015年5月2日)@新代田FEVER

 BorisとENDONは昨年にそれぞれのノイズを具現化した作品をリリースし、そして混迷するエクストリームシーンの中でも極めて異彩を放つ存在だとも思う。Borisに関して言えば最早世界レベルの人気バンドだし今更言う事なんて無いのかもしれないけど、アニメ版「ニンジャスレイヤー」にエンディングとして採用されたりと、まあ相変わらず話題は尽きない。そしてENDONは登場初期のヴァイオレンスなパフォーマンスこそ封印はしたけど、いやそうしたからこそよりその音で事件を数多くの現場で生み出す「戦略的ノイズ」の風雲児として一気に名を広めた。昨年リリースのENDONの1stアルバムはBorisのAtsuoがプロデュースしていたり、Borisの愛用するエフェクターメーカーM.A.S.F.はENDONのメンバーであるAXONOXが運営していたりと両者の蜜月は以前からあったし、今回こうした2マンが開催される事になったのも必然だったと思う。更にrokapenisがVJを担当し、ノイズの新時代をヴィジュアルでも体現する夜。既に事件の予感しかしなかった。
 そんな予感はFEVERに入ると的中。開演前でありながらMPAとAXONOXがフロントで演奏していたりしたけど、ステージにはBorisのセットがセッティングされており、そしてMPAとAXONOXが演奏しているフロアにはENDONのセットがセッティングされているというまさかの2ステージでのセッティング。いやもうこれは察しの良い人は直ぐに勘付いただろうけど、本当にとんでもない事件がFEVERで起きる事を確信した。



・ENDON

 先ず先行はENDON。前売りがソールドアウトしただけあって人が多く、僕はBoris側の方にいたのでENDONのフロアライブでのステージの様子は見えずに、その音だけでライブを体感したけど。より破壊的になりながら洗練された音になったなというのが久々にライブを観て先ず実感した事だ。一見すると非常に取っ付き難い部類の音楽なのかもしれないけど、ENDONはそれを逆手に取ってエンターテイメントにしている気もした。毎回ライブ毎に変わる即興性のあるアレンジは彼等のライブを単調さから程遠い物にしているし、突き抜けるノイズサウンドは最早一種の快楽の領域にまで達している、爆撃機の様な手数をブチ込みながらも、最早独自の人力ドラムンベースと化していて、音が兎に角気持ち良い!太一さんのボーカルも絶好調でいつも以上に声量もおぞましさも増していたと思う。そしてrokapenisのVJも凄くハマっていて、正にノイズを視覚化したらこうなるという神秘性と混沌をビジュアルとして体現した物になっていたし、ENDONの計算されながらも混沌としたノイズと見事にシンクロしていた。ENDONのライブ自体は30分程で終わったけど、相変わらず見事にヴァイオレンスなノイズを繰り出しながら、よりダンス出来る音にもなっていたとも思うし、ノイズ文脈のカテゴライズを笑いながら、アンダーグラウンドなサウンドでありながら、そのコアを守りつつよりワイドでオーバーグラウンドなバンドになっていたのも印象深かった。日々新たな発見がENDONのライブにはあるし、このバンドはやはり一筋縄じゃ全然いかない。



・Boris

 そして間髪入れずに次はステージの方でBorisのライブとなったけど、いきなり新曲というか20分近くにも及ぶパワーアンビエントドゥームに先ずド肝を抜かれた。wataさんのギターがほぼ楽曲を構築し、Atsuoもドラムを叩いているし、Takeshiもベースを弾いているけど、その音は最小限。Earth 2の頃のEarthを彷彿とさせるワンリフの繰り返しによるドローンサウンドだけど、wataさんのリフが兎に角重過ぎる!!延々と同じリフを繰り返しているだけの音であるんだけど、一々歪みまくっているし、音が重い。観ていて気が狂いそうになったし、本当に頭がおかしくなってしまいそうになった。何よりもこの時点でスモークの量が完全におかしい事になっていたし、目を開いているのすら辛くなるレベル。視界は完全に見えなくなってしまったし、このまま殺されるんじゃ無いかって本気で思ったよ。そして重圧殺ドローン地獄から新たな桃源郷へと導く「Rainbow」へと。正直に言うとwataさんのボーカルが少し聴こえづらいのだけは残念だったけど、あのドープなグルーブは何度観ても健在だし、中盤のwataさんのファズギターのギターソロは今日も絶好調!そして流れを変えてニンジャスレイヤーアニメイシヨンのEDにもなった「キルミスター」をプレイ!!この曲は「NOISE」を通過してBorisが再びより真っ当なヘビィロックを鳴らした新たなるアンセムになるであろう名曲であり、ライブで初披露にも関わらずフロアではニンジャヘッズ(主に外国人)によるモッシュが起きる始末。更に畳み掛ける様に「黒猫Melody」と「Vanilla」という最新のアンセム2曲でフロアの熱気も最高潮!!地獄からヘビィロック天国へと変貌した。しかしこの日の楽園はここまでで、最後は再び電子音と共にドローン地獄が終わり無く続くと言うラスト。音量も凄まじい事になり、VJのライトニングも視覚を殺しにくる。再び充満するスモークの中で地獄のドローンで終わりと言う結末。サービス精神の欠片も無い、音圧と音量でFEVERにいた人間を完全に殺してしまう勢いであった。しかし本当の地獄はここからだった。



・Boris+ENDON

 2マンなのに2ステージという事でフロアに入った時点で全てを察した人も多いだろうけど、僅かなブランクで間髪無しにフロア側のENDONのセットから爆音ノイズが吹き荒れる、そしてステージ側のBorisも爆音。まさかのステージとフロアの前後からノイズが押し寄せる形でのコラボライブが始まった。そしてまさかのJudas Priestの「Painkiller」のカバーが始まる!!僕はENDON側に移動して観ていたけど、何処か凄く楽しそうに叫んでいる太一さんが滅茶苦茶印象的だったし、Boris側の様子は分からなかったけど、裏からは爆音のリフ、ENDON側からは熾烈なノイズと言う魔改造されまくったカバーに脱帽だし、メタルアンセムをノイズ塗れにし、点滅しまくるライトニングと共に生れるカタルシスは相当な物である。そして一旦ENDON側の音が止まってBoris側のアンビエントな演奏がスタート。その美しさに惚れ惚れしていたら最後の最後がとんでも無い事になってしまった。再びENDON側の演奏も始まりBorisとENDONの両者が今日最強の音圧と音量で演奏を開始。あまりの音圧と音量で最早何をやっているかもよく分からなかったし、常に鼓膜を蹂躙しまくっていた爆音ノイズが本気で殺しにくる。これまで本当に数多くの爆音ライブには足を運んできたつもりだったけど、これまでの人生で一番の音量を確かに体感したし、本気で脳細胞が何箇所か死んでしまっていたかもしれないって本気で思った。そして狂乱のノイズ地獄が終わったけど、フロアは凄まじいスモークで覆われていたし、誰もが立ち尽くしていた。本当にその場にいた人間全員の中でトラウマが冗談でも無く生れたと思う。



 終演後も暫く頭がまともに働かないし、耳が完全に死んだし、全身が妙な吐き気で暫く身動き出来なかったし、やっと頭がまともに働くようになって思った事は「今日ここに来て本当に良かった。本当に凄いもの観た。でももう二度とは観なくて良い。」だった。いや本当に伝説的ショウだったのは間違いないし。ノイズと言う視点から、アンダーグラウンドもオーバーグラウンドもアートもヘビィロックもエンターテイメントも全てひっくるめて完全に完成されたショウであり、ショウというかライブと言う名の一つの作品を作り上げたと言っても良いだろう。でも転換無しで2時間ぶっ通しで殺人的音量を浴びたから帰りの電車では頭痛に襲われたし、ここまで精神も肉体も蝕むライブは本当に初めてだった。もう二度と体感したくないって気持ちはこれを書いている時点では実際にまだあるけど、でもこんな凄い物を観れて良かったとは心から思う。
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