■ガサ入れGIG4 1st Full Alubum "コミューター" Release Party!!!(2015年5月9日)@新大久保Earthdom
・Cunts
何故かステージ前のフロアにドラムが設置されて先ずはドラムとボーカルだけのノイズグラインドっていうか最早ノイズでも無いじゃんなCuntsからスタート。本当にドラムとボーカルだけのグラインドで人によっては出落ち一発芸的な方法論に見えるかもしれないけど、ただ極限までアホを突き詰めたら最高のエンターテイメントになるんだってCuntsを観て思った。のっけから「どうもブルーハーツです。」とか「実はブルーハーツじゃ無かった。」とか一々笑いを誘う振りをするし、ブラストビートと叫びだけで爆笑と歓喜の渦に巻き込み、「Cunts feat EXILE TRIBE」とか「今から再結成ライブ」とか「残り53曲」とかゲロゲリの「パンクの鬼」的なアレで曲前に一々フロアを笑わせ、そして興奮に巻き込む。ノイズグラインドとはなんぞやって最早なってしまうスタイルではあるけど、客の野次すら笑いに変えて、本気なのか悪ふざけなのかフラーダムなのか最早分からない感じがまた良いのだ。ライブは予想通り10分ちょいとかで終了。最後はドラムの人がドラム叩くのすら止めて叫んでいて何のこっちゃな感じであったが、いざライブが終わるとフロアからは大きな歓声。馬鹿をここまで解き放ってやると最高にエンターテイメントになるって事なんですよ!!
・lang
おまわりさんとは旧知の仲であるおまわりさん曰く「チャラく無いエモ激情」ことlang。実にライブは半年振りとかだったらしく、ブランクもそれなりにあったとは思うけど、そんなブランクは全く感じさせないどころか、以前観た時よりも更にバンドはパワーアップしていたと思う。初めてlangを観た時は青臭いナードさと繊細さをどこか危なっかしく放っている所が凄く魅力的ではあったけど、今のlangは前とは比べ物にならない位に頼もしいバンドになった。勿論単純に佑磨さんが加入してツインギターになり音がパワーアップしたってのもあるけど、5人編成のサウンドもより一体感が増していたし、langの持ち味である最早フォークや歌謡曲の領域に達しているメロディセンスをフレンチ激情的美意識で味付けしてハードコアにしたサウンドは健在どころかより精度が高まっていたし、和田さんの叫びとポエトリーと言葉は心を抉る。曲を重ねる毎にバンドのテンションもアンサンブルも尻上がりに更に良くなっていき、終盤の必殺の名曲「常夜灯」は本当に凄みを感じた、和田さんの長めなポエトリーパートからの最後の最後の音が爆発する瞬間は本当にlangというバンドの爆発力と瞬発力が凄まじく、奇跡みてえに音が破裂していた。ラストの「調べ」では太田さんが勢い余ってフロアに飛び出したりもしつつ、本当に久々に観れたlangは最高だった!!間違いなく日本人にしか到達できないエモ激情の最右翼にlangはいるんだと思う。
・Final Exit
今年で結成21年を迎えるSu19bの菊池さんがドラムを叩くFinal Eixt。まだライブを観た事無かったし、一回ライブを観たかったけど、今尚ノイズグラインドのレジェンドとして名を馳せるだけある爆笑と興奮のステージだった。先ずギタボのヒサオさんのMCから始まって、それが4分位だったかな?話している事は今日電車に挟まれたとかGWにマザー牧場行ってきたとか本当に妙にほっこりする日常の事を話していて、それに対してやたら食い付きの良いレスポンスを返すフロア。そして実際ライブが始まるとそれがもう変幻自在過ぎるノイズグラインドだった。サーフロック・レゲエ・スカ等を取り込み、ノイズグラインド一辺倒じゃないサウンドを自由に行き来し、しかしエフェクターを踏んだ瞬間に極悪な重低音が空間を一瞬で埋め尽くした瞬間に一気にブラストしまくるビートのカタルシス。菊池さんのドラムもSu19bの時とは違いフリーキーかつ自由に勢い重視でブラストしまくり、Su19bで聴かせる重さを重視したブラストと違い、一気に光の彼方まで突き抜けそうな速さでありながら、変則的でフリーダムにドラムのビートを変えまくるという物、キャッチーでやたら間口の広い音を放ったと思ったら極悪ノイズグラインド、その落差にまた笑いと興奮が訪れる。何というか色々ズルさしか無かったし、最後は菊池さんがフロアにクラウドサーフを決めてライブは終了。MC4分、ライブ8分位の内容だったけど、ノイズグラインドを一つのエンターテイメントにしてしまっているという点もそうだし、Final Exitは凄かったとしか言えない。
・sajjanu
完全に予備知識ゼロで観たsajjanu。メンバーはサイケバンドやってそうな出で立ちでツインギターとドラムのベースレスインスト3ピースなんだけど、先ずは圧倒的な音数の多さと情報量にびっくりした。ツインギターが絡みながらも、マスロックをよりこってりとさせたみたいな突き抜け系豚骨スープみたいなサウンド、息がぴったり合った演奏をしていると思いきや、いきなり各パートの音が止み、妙な緊張感を孕んだ静寂からまた音数の暴力とも言うべき音に戻っていく。しかしその音は実際ちゃんと聴いてみるとより深みにハマりそうな具合に雑多で、カオティックだと思わせておきながら実際は凄くメロディアスであるし、メタリックなサウンドもガッツり入れながら、ハードコア的なアプローチも取り込んでいる。実際に滅茶苦茶楽曲は作り込まれていると思うし、でもそれをライブである種の即興性を感じさせる演奏で放つ事による本当の意味での予測不能な緊張感。凄まじく濃厚こってりなライブだったが、変態超絶技巧が炸裂しまくり、3ピースの新たな可能性を感じさせる音の切れ味の鋭さは堪らない物であった。
・INCAPACITANTS
国内ノイズ界では言うまでもなくレジェンドであり、最高峰の存在であるINCAPACITANTS。僕自身は音源でしか彼等を知らなかったのもあるし、ライブで実際にその実態を確かめたかったのだけど、もう実際にライブを観たらこりゃノイズ最高峰で間違いないわって感想しか出てこなかった。たった二人で無数のエフェクターを使い、何か手に持って動かしたりするとノイズが出る装置みたいなのを使ってノイズを発生させ、バンドサウンド全く無しでたった二人でノイズを生み出しているんだけど、30分弱のライブで単にノイズを垂れ流しにするのでは無く、地獄のノイズから一つの快楽を生み出していた。常に無慈悲に放出される重低音ノイズが実はサウンドのグルーブを形成し、音の変化によってビートに代わるノイズビートを生み出し、ハーシュノイズの変化によってノイズが色を変えていく。一見するとノイズの塊を放っているだけだと思わせて、実際はノイズというパーツでどこまでロックに近づけるかという実験と実践を繰り出していたし、だからこそ途中でフロアでモッシュが発生したりもしてしまっていた。その無慈悲な音は確実に脳を覚醒させるし、確実に色々開けちゃいけない部分をこじ開けてくる。30分弱の地獄が終わった瞬間に生まれたのは本当に大きな歓声であり、最後はコサカイさんがエフェクターが並んだテーブルをひっくり返して締め。最初から最後まで未知の興奮しか無かったし、ノイズによって生まれた濃霧の先にある何かを掴みとりたくて仕方なかった。そう思わせてくれるのはやはり本当に意味でキャリアを積み重ねたレジェンドであるからこそだ。
・おまわりさん
本日の主役のおわまりさんだけど、これまでで一番のライブだったかもしれない。前回代々木で観た時は正直いつもよりパンチが弱いなって思ってしまったけど、今回は全然そんな事無しどころか、前以上に音がエグさを増している!!ハナの「膨張」から暴力的ノイズが吹き荒れていて、そこからドゥーミーな静寂を得て爆発を繰り出すというおまわりさん印のサウンドが炸裂!!そういえば3年前に初めておまわりさんのライブを観た時も頭に「膨張」やってそれでブチ殺されたんだよなあなんて思い出したりもした。そしてハードコアパンクな楽曲も絶好調!!「ハヤシン」辺りの曲は瞬発力と爆発力が流石だなあって思ったし、ノイズサウンドを有効に使いながら、音をとっ散らかして爆発させるおまわりさん流のロックサウンドはキレまくり、松田さんと佐々木さんは何度もフロアへと乗り出していたり、風人さんはやっぱりフロアへ飛び出して暴れ叫んでいたりとパフォーマンスも絶好調!!「集合意識」なんかは最早おまわりさんのアンセムになっている感じもしたし、フロアは案の定というかやっぱりモッシュが起きていた。でも個人的には「膨張」もそうだけど、、おまわりさんは長尺の静寂と不条理の楽曲が本当に好きで、「コミューター」の静寂と無音すら緊張感と違和感で聴かせるサウンドは本当に何度も何度も息を飲んだし、てっきり最後は「集合意識」で終わりかと思ったら最後の最後におまわりさんの真髄とも言える「ハイパーインテリジェンツィア」にて10分近くにも及ぶ不条理な地獄。特にラストの松田さんのギターだけになってからの大爆発は本当に頭がおかしくなってしまいそうになったし、本当に凄い物を観たって思う。最後の最後に佐々木さんがベースを床に叩きつけたらシールドのジャックが完全に折れてたりもしたのも何かほっこりしたりしてしまった。そんな所も含めておまわりさんのこれまでの集大成的なライブだったと思う。
しかしこれだけ極端なバンドばかり集まっていながらアースダムは常に笑顔笑顔だったのも本当に印象に残っているし、良い意味で滅茶苦茶な企画だったからこそ生まれた特別な磁場も絶対にあったと思う。おまわりさん自体は今決まっているライブが終わったら、風人さんの海外武者修行によって暫くライブはお休みになるらしいけど、しかし絶対に今のメンバーでまた復活するって旨をオフィシャルで言っているし、その時にはよりパワーアップしたバンドになっていると思う。でもこの日のおまわりさんはこれまで積み重ねた物の集大成であり、本当に唯一無二のバンドになったと思う。国家権力の犬の名前をバンド名にしたふざけているのか本気なのか分からないこのバンド、これからもっと大きくて面白いことをやらかしてくれるって思ってるんだ。