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■調べ/Lang

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 これは日本人が提示した日本語ハードコアの一つの模範解答となるべき作品だと言えるだろう。都内でマイペースに活動を続ける激情ハードコアバンドLangの2014年リリースの1stフルアルバム。現在はnonrem、屠蘇のyuma氏も加入し5人編成で活動をしているが、今作はyuma氏加入前の4人編成での作品になっている。盤自体も現時点では恐らくバンドの物販以外で買えない状態で何処の小売店にもディストロにも卸されていないと思うんだけど(もし違ったらすみません)、こんな素晴らしい名盤をもっと広めないでどうする!!って意味で今回紹介の記事を書かせて頂きたい。



 そもそもLangというバンドは激情系にカテゴライズされるサウンドを鳴らしているバンドだとは思うけど、根源に激情系ハードコアは実は無いバンドだと思う。そりゃサウンドの基礎は激情系ハードコアだとは思うし、メンバーもそれらの音には影響は少なからず影響を受けているとは思うけど、でもメンバーが影響を口にするのはハードコアよりも尾崎豊や中島みゆきや日本語フォークといった音楽性だし、無論それらの音楽と激情系ハードコアを融合させましたなんて簡単な物じゃ無くて、それらの音楽の中にある根本的なパンクだったりハードコアといった要素の一番純粋な部分だけを受け継ぎ、それをより熱情溢れる音として鳴らしたら結果としてハードコアという音楽になったと言った方が正しいのかもしれない。勿論歌詞や曲名も全て日本語詞という拘りを見せているし、根底として脈々と続く日本語による音楽の形を模索しているからこそ行き着いた表現なのだ。だからサウンドも凄く懐かしさと畳臭さを感じる物になっているし、でも懐古主義では無い。これは日本語による表現を純粋に追い求めたからこそ生まれたスタンダードでしか無いのだから。
 何よりもサウンドが最強に青臭い!!エッセンスとしてのフレンチ激情の美意識であったり、イタリア激情のメロディセンスの香りもあったりはするけど、それは後付け論にしかならないし、彼らが鳴らすメロディは何処をどう切っても日本の古き良き音楽のパッションと湿っぽさだ。今でこそツインギターで活動をしているけど、今作でのギター一本のシンプルで荒削りなサウンドは彼らが何の誤魔化しも化学調味料も使ってない、日本語による有機栽培された音と熱情を不器用すぎるまでに放った音だ。第1曲「乗り遅れた電車」だけでそれは十分に伝わるし、太田氏の直情的なギターワークも、和田氏の叫びとポエトリーを字余り覚悟で日本語によって描かれる個人的感情も全て必然だ。第2曲「音無し川」の荒々しい疾走感のバーストの中にある、何処か閉塞的であるけど、大風呂敷広げた世界観では無くて四畳半の世界の個人的感情を歌うサウンドは人間の体温こそが沸点だと言わんばかりの物だし、クサくなっても知るかとばかりのフォークソング感をメロディに託したサウンドに胸が熱くなるじゃないか!!
 ハイライトは中盤の第5曲「柄」から第6曲「常夜灯」だと思う。「柄」のイントロのクサ過ぎるし、下手したらダサく聞こえるイントロの印象的なギターリフから爆走するサウンドへのギアチェンジ。感情赴くままに繰り出されるカッティング、もうシンプルに一生懸命音出すしかねえ!!って感じの最高に一杯一杯なビートと共に炸裂する感情の昂ぶり!!何もかもが歪だし、完成なんて全然されていないのに、それが最高に必然的で美しく感じる瞬間。そこにあるのは純粋なまでのバンドマジックだし、「常夜灯」は正にLangとしか言えないスーパー名曲で、究極に不細工で格好なんて全然ついてないし、ひたすら前のめりな音だけを信じている、尾崎イズムを更に馬鹿正直に受け取ってしまった熱血具合も、長々と飾ら無い言葉で綴るポエトリーも、そして必殺のキメの連続からの暴発する音と共に字余りなんてレベルじゃ無く「そこに僕の言葉など何処にも無い事は知っていた!!」と何度も訴え、もう本気で血管ブチ切れそうな勢いしかないクライマックスへ疾走する瞬間に僕はLangというバンドに惚れてしまった。というかそもそもポエトリーパートで「死んだ婆ちゃん」なんて言葉が出てくるバンドは他にいねえし、そんなん最高以外に無いじゃないか!!



 Langのサウンドはまだまだ全然未完成ではあるけど、彼らは既に日本語によりハードコアという表現の理想形を未完成でありながら完成させて提示してしまっている。この作品はそんな恐ろしい作品であるし、アバンギャルドさでは無く、現行のサウンドを追いかけるのでは無く、自らの信念とルーツを不器用なまでに追い求めて消化して形にしたからこそ生まれた究極の普遍性であり、新たな進化系の提示でもある。5人編成になった現在はyuma氏が加わりツインギターになった事によってより音に幅が広がり、より爆発するサウンドをより不器用により力強く鳴らすバンドとして進化を続けている。だからこそ今作がまだ多くの人の手に届いていないって事実に憤りもあるし、こんな真っ直ぐで熱い日本語ハードコアなんてもっと多くの人に届きまくってしまえば良いのだ!!



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