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■FEVER presents NOT BORED TYO(2015年8月10日)@新代田FEVER

 実に12年振りの惹かれ合いだ。


 世界で最も評価されている日本のバンドと呼ばれ、轟音インストゥルメンタルの最高峰と名高く、最早世界規模のバンドであるMONO。
 国産ポストロックの先駆者であり、一時代を築き上げながら突如の活動休止、そして9年振りの活動再開後は更なる支持を集め、より予測不能の世界へと入り込んだdowny。
 そんな時代を築き上げた両者の2マンライブという夢の様なライブだった。今でこそ轟音系ポストロックなんて物は市民権を獲得している時代ではあるけど、まだ何も芽生えてなかった時代から活動し、常に最新型の音を提示してきた両者がこうして12年振りに共演するのは感慨深くもある。
 お盆休みに入ったとはいえ、平日でFEVERは超満員のソールドアウト。両者とも決してライブ自体が多くないのもあるかもしれないけど、この2マンライブはもう二度と実現しないだろうスペシャルなサプライズだろう。
 僕自身はこの両者は自分のルーツであるバンドでもあるし、一つの感慨深さ、そして未知なる音に触れてぶっ飛ばされまくってた10代の頃の気持ちを思い出しながらFEVERへと足を運んだ。



・MONO

 先攻はMONOからスタート。今年一月にUNITで目撃したワンマンライブではMONOの集大成とも言える圧巻のステージであったけど、今回のMONOはこれまで以上に音がアグレッシブに攻めてくるMONOだった。
 最早MONOを代表する名曲と言える「Ashes In The Snow」からライブはスタート。この曲のきめ細かく作りこまれた音色の数々は静謐なパートでこそ際立ち、その息を呑む美しさをより緊張感を高まらせながら奏でていく。
 張り詰めたピアノ線の様な鋭さと触れたら傷つきそうな痛々しい繊細さを感じながらも、その保たれた緊張感が一気に切れた瞬間に訪れる轟音パートのカタルシスは最早お見事ではあるけど、今まで以上に音がダイナミックに感じたのはFEVER規模のハコでのライブというのもあったかもしれない。
 しかしこれまで大きめのハコでしか観る事が出来なかったMONOだけどキャパ300人程のハコで観るのは本当に贅沢に極みだったとも思うけど、MONOの世界観はどんな場所でライブをやろうとも揺るがない事を証明した「Pure as Snow (Trails of the Winter Storm)」の格別の美しさよ。
 オーケストラ隊こそいないけど、たった4人でオーケストラ級のスケールを生み出してしまっているし、そのスケールで単なる轟音では無く、まるで滝の音の様な自然世界の轟音に身を任せている様な錯覚に陥らせるのがMONOの凄い所だ。
 逆に「Kanata」みたいな分かりやすい轟音パートでは無く、トレモロの美しさを前面に押し出した曲でも揺らがないエヴァグリーンな世界観、エレキ楽器で生み出されるアンサンブルでありながら、その音をもっと生々しい温もりへと変換する力はMONOのライブの大きな醍醐味だし、そこから無限の光のシャワーが降り注ぐ救済の福音「Halcyon(beautiful days)」への流れは鳥肌が立つ美しさだったし、音が新世界の誕生を祝福するパレードと化していたし、その情景には泣きそうになったよ。
 だけど今回のMONOはそれだけでは終わらなかった。緊迫感溢れるアルペジオのフレーズでそんな祝祭を黒く染め上げるダークサイドMONOの最新で最凶の一曲「Recoil, Ignite」をプレイした瞬間に今回のMONOのライブの本当のハイライトが始まった。
 さっきまでプレイしていた曲と方法論が違う訳では無いけど、メロディと音の感触を少し変えてしまっただけで光を闇に変えてしまえるMONOというバンドも恐ろしいが、先程までのダイナミックでありながら丁寧に紡がれる音を一変させて、サッドネスに発狂した轟音へと堕落させ、観る物を殺しに来てしまっていたし、その祝福から絶望への落差は残酷なまでに美しかった。
 ラストは初披露の新曲「Death For Revers」で締めくくられたが、それがダークネスのMONOと光溢れるMONOの衝突地点から生み出される白と黒の乱反射をMONO史上最大のダイナミックさとアグレッシブさで描いた新たなる名曲であり、最新の新曲でこの日一番の興奮をFEVERに産み落として一時間に渡る壮絶なるライブは終焉。
 最後の最後の終わりなきフィードバックノイズの中、拍手は全く鳴り止まなかったし、本当に凄まじいライブだった。これが世界トップランカーバンドの実力であり、他のバンドが束になっても全然勝てないであろう圧倒的存在。それがMONOだと五感に刻み込まれてしまった!!

セットリスト

1.Ashes In The Snow
2.Pure as Snow(Trails of the Winter Storm)
3.Kanata
4.Halcyon(beautiful days)
5.Recoil, Ignite
6.Death For Revers(新曲)



・downy

 後攻はdowny。先攻のMONOの圧巻のライブにどう立ち向かっていくのかと思ったけど、MONOとは全然違う轟音を研ぎ澄ませに研ぎ澄ませたライブでdownyは攻めてきた。
 一曲目からいきなり新曲「凍る花」でキックオフ、再結成後にリリースした5thにて新たなるdownyの世界を彼らは提示したけど、そこで提示した世界の更に深淵へと迫る楽曲であり、何から何まで気持ち悪いという印象を受けてしまった。
 ギターフレーズが朧げな霧に包まれた様な輪郭を全く掴めない歪みを生み出し、リズム隊のビートはもうやっている事が複雑極まりなくて最早何をやっているか全く分からない。
 そしてカタルシスを放棄しドープなまま置き去りにしていくという完全にdownyの新章をこじ開ける渾身の一曲。その時点で今日のdownyはとんでもないライブを繰り出すと確信。
 シンセのフレーズと歌が優しく導きながらも複雑で機械的なビートが心象風景をグニャグニャに捻じ曲げる「春と修羅」を序盤でプレイしたのも意外だったが、2ndからの「葵」、「黒い雨」、「象牙の塔」の3曲は過去の楽曲すら完全に違う形でアップデートさせてしまったdownyの恐ろしさを痛感させられる物へと化けていた。
 インプロパートの音はより混沌と絡み合い、ビートと変拍子が音源よりも更に複雑になり、超絶技巧の正確無比さと、ありえない緊張感に何度も何度も息を飲みそうになり、よりソリッドでタイトになった轟音ギターは正に刺し殺すといった表現が相応しい。常に喉元に刃を向けられている様な切迫感と死と隣り合わせになる恐怖をVJの不穏な映像と共に音と歌で描いていく、そんなdownyというオリジネーターの本領が発揮される。
 中盤の新作の中でも特に叙情的な歌と世界観を描く「時雨前」、「黒」の2曲は今回プレイされた曲のなかではまだ分かりやすい曲ではあったが、同時にだからこそ人間的な切迫した痛々しさが描かれるし、ライブでこの2曲は本当に映える。繰り返される美麗のフレーズの中で蠢く熱情、ダークでありながらも、どこまでもエモーショナルで本当に素晴らしい。
 ダンサブルなビートでありながら不気味なインダストリアルさを人力で生み出し、もはや拍の概念すら理解不能の領域に達しながら完全に息の合った演奏による曲線美の美しさ「或る夜」を経て繰り出されるアンセム「左の種」はdownyに絶対不可欠の名曲だし、最もギターロック的なスタンダードさを持ちながらも、ブレイクでの静寂の絶望感から爆発するアンサンブルの虚無と嘆きを放出する叫びと轟音、一見機械的であるにも関わらず、どこまでも人の持つ闇を暴くdownyというバンドのオリジナリティはやはりそこにあると僕は思う。
 終盤は理不尽なまでに体温を失った混沌「曦ヲ見ヨ!」、インダストリアルな断崖絶壁な轟音のギロチン「弌」からdownyの代表曲であり原点にして未だに一つの到達点である「猿の手柄」にてこの日一番に尖りまくったソリッドさとメランコリックさの中、感動的でありながら無慈悲に終了。
 アンコールを求める拍手も止まなかったが、アンコールなしで全12曲一時間の異次元ライブを完遂。ラストの「猿の手柄」をプレイする前にMCで青木ロビンは新作レコーディングに入る事も宣言し、まだまだ前人未到の世界へと僕たちを連れて行ってくれる事を約束してくれた。
 一年振りにライブを目撃する事が出来たけど、やはり過去も現在も、そしてこれからもdownyに代わるバンドは出てこない。ここまで全てを暴くバンドなんて他にいないのだ!!

セットリスト

1.凍る花(新曲)
2.春と修羅
3.葵
4.黒い雨
5.象牙の塔
6.時雨前
7.黒
8.或る夜
9.左の種
10.曦ヲ見ヨ!
11.弌
12.猿の手柄



 12年振りの共演となった両者だが、ゼロの時代からシーンを作り上げて来た両者の再開は必然だったし、MONOもdownyも余計な事は語らず、ただ音で観る者を圧倒していた。
 どれだけ時代は巡っても本物のアーティストはどんな形であれ生き残り続けるし、シーンに立ち続けるからこそ説得力がある。
 MONOもdownyも時代が巡っても現在進行形で常に最高の音を生み出しているし、今でもシーンの最前線にいる。そんな両者がいつも僕たちに見せてくれるのは圧倒的世界だ。それだけで良い。それだから良い。
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