■Salad Days Vol.314(2015年8月23日)@小岩bushbash
この日は久々のライブとなったaieや、小岩と共に歴史を積み上げたCurveの出演など、日本のエモ・オルタナティブを代表するバンドが集結。PLAY DEAD SEASONはベーシストサカイ氏の体調不良により出演キャンセルになってしまったのは残念ではあったが、それでも十分過ぎる程に豪華な6バンドでブッシュバッシュの六周年を祝ったのだ。
・Curve
小岩と共に歴史を刻んできたCurve。エモ×シューゲイザーを超えたファンタジーとしてのロックを今回もCurveは鳴らしていた。
既発曲から新曲まで満遍なくプレイするセットで今回は挑み、ホームであるブッシュバッシュでのライブということもあって、少しリラックスしながらもありったけの感情を歌とメロディに託すCurveならではのスタイルはこの日も健在。
途中機材トラブルでギターから音が出なくなってしまったりもあったけど、ドラムとベースだけの音になっても羅氏の歌は高らかに響き渡り、その歌だけでメロディはおろか、Curveが持つ幻想的世界を体現してしまっていたのはCurveの底力を観たといった所だ。
よりオルタナティブになりダイナミックになった新曲も今のCurveのモードを体現し、よりソリッドかつアグレッシブなサウンドでありながら、揺らぎとブレが全く存在しない幻惑のメロディと歌が感動を呼び起こし、観る物の感受性をこじ開ける。
今回のライブはトップバッターではあったが、序盤からいきなりハイライトを生み出し、ブッシュバッシュに新たなる救いと秩序を生み出したのだ。今の攻めに攻めるCurveはこれからとんでもない爆発を見せてくれるだろう。
・Twolow
いよいよ1stアルバムのリリースも決まった新人だけど新人じゃないヘビィネスTwolow。
ライブ自体は本当に久々に観たんだけど、以前観た時とは明らかにバンドのモードが変わり、音のソリッドさはそのままに、よりメジャー感溢れるアンサンブルを魅せるバンドになったと思う。
勿論楽曲構成は複雑だし、分かりやすいアグレッシブさよりも渋さが全面に出ているサウンドなのは変わらないけど、ヘビィなオルタナティブロックとしての理想形を描き、刻みまくりなギターフレーズから感じるクールなダークネス、塚本&亀井のリズム隊のグルーブも鉄壁その物。
分かりやすい爆発では無く、爆発寸前の緊張感を常に保っている様な熱量はじわじわと鼓膜に入り込んでくるし、際限なく刻まれるリフが複雑に色を変える度にTwolowという未知の生命体の輪郭はより掴めなくなってしまう。
今回久々にライブを観てみて、やはり一筋縄ではいかないバンドだと思ったけど、でも鉄の匂いと重みをこれでもかと感じるアンサンブルは新人バンドじゃ絶対に出せないし、10月リリースのアルバムでやっとその全貌が少しは掴める気もした。
ヘビィロックのブラックボックスことTwolowはリスナーの安易な想像を軽々しく裏切っていくだろう。
・aie
最後に観たのはもう6年前とかだったかもしれない。本当に久々にaieのライブを観る事になった。
バンド自体もライブをしていなかったらしく、この日は大分久々のライブだったみたいだけど、頭に「nicolai's place」というaieのアンセムをいきなり持ってこられてしまって一気に感涙物のエモーションが溢れ出す。
ライブ自体の出来は決して良いとは言えなかったとは思う。演奏にはかなり硬さがあったし、久々のライブという事もあって、音の散漫さも目立ってはいた。だけど、aieが持つ珠玉のメロディと誠心誠意全力でぶつかってくるライブは技術的な意味でのライブの出来を完全に超えていたのだ。
aieのライブやMCからは色々な戸惑いや困惑もありながらも、それでも足を止めることはしないという覚悟が見えたし、最後は楽器を放り投げる爆発的感情を出し切り終了。お世辞にも完成度が高いライブとは言えなかったし、前に観た時よりも初々しさすら感じるライブだった。でも新たなるスタートを改めて切ったaieというバンドをまた心から応援したいと思ったし、柏が生んだ純粋無垢な結晶は絶対に砕けない!!
・MiDDLE
鶯谷ローカルハードコアヒーローMiDDLE。このバンドはどこまでも清く正しく尖り続けている。
春にドロップされた「尖音」でも見せつけていたディスコダントポストハードコアサウンドの真価はやはりライブで発揮されるし、音源とやっている事は何一つ変わらないけど、だからこそ人間臭い熱きパッションがMiDDLEのライブでは迸る!!
全7曲に渡ってストイックかつ硬派に繰り出されるサウンドに隙は全く無く、トリプルボーカルで掛け合うボーカルも熱き男の叫び!!3人の尖り特化型のキチガイは積み重ねたキャリアなんか関係無いんじゃ!!とばかりに初期衝動を爆発させ続ける。
ドライブするギターワークは不協和音だらけでありながら、リフの突き刺さる格好良さを押し出し、極太のベースラインも他の音を食い殺す勢いで突き抜け、ストレートなハードコアなドラムは正に爆走!!
正統派サンディエゴ直系サウンドでありながら、どこまでも純粋な爆発力と衝動により鋭利極まりない3つの爆音のパトスをこの日もただ真っ直ぐに高め続けるだけだったし、MiDDLEの持つエネルギーは底無しの絶倫だ。鶯谷からやって来たハードコア番長の兄貴三人はただ爆音を放つだけで全てを虜にする、最高にロックな男たちだ!!
・OSRUM
前日のBB企画に続いてこの日もOSRUMのライブを観る事に。
BB企画の方では機材トラブル等もあったけど、この日はそういった事も無く、バンドの方も非常にリラックスしたライブをしていたと思う。
セット自体は前日と全く変わらなかったけど、二日続けてのライブという事もあって脂が乗りに乗りまくっていたし、特にリズム隊のグルーブに関してはかなり調子が良かっただろう。
羽田氏のベースは音数の多さもそうだけど、流れる様に音を紡いでいくスタイルでグルーブだけじゃ無く、確かなメロディを感じさせるベースだし、藤本氏の繊細とダイナミックの狭間を堂々と突き進むドラムは何度聴いても心が熱くなる。
魚頭氏のギターと歌もキレにキレまくり、鋭利にメロディを観る人に突き刺していくのは勿論だけど、よりOSRUMの持つ渋いエモーションがより高い純度で輝きを生み出していく。
リラックスしたテンションでありながら、より完成度が高まったライブであったし、この企画のラストを熟練のサウンドで堂々と締めくくってくれた。
気がつけば314回も開催されていたこの「Salad Days」という企画であるが、これまで幾多の伝説的ライブを生み出し、長き年月に渡って確かに続いている。
ブッシュバッシュも6歳の誕生日を迎え、循環する時代と共に新たな夜を作り続けているが、バンドもハコも決して歩みを止めずに続いているという事が凄く大切だと思うし、そんな掛け替えのない日々の隙間にある音は一つのライフスパンとして脈絡と続いているし、そしてこれからも続いていくのだ。