■Altar of Complaints / SeeK / Stubborn Father / Thetan 4way split 12inch

日本・大阪とアメリカ・テネシー州ナッシュビルの日米バトルロイヤル4wayスプリット!!大阪のSeekとSTUBBORN FATHER、テネシーのAltar of ComplaintsとThetanが正面衝突する激音スプリットがMeatcube、Kakusan Records、3LAからの3レーベル合同リリース。
このスプリットはテネシーと大阪という国境を超えたスプリットであり、4バンドの音楽性は一見するとバラバラではあるが、ローカルから新たなる激情・カオティックを鳴らす孤高のバンドが集結した実に大きな意味を持つスプリットだ。日本国内でのリリースは勿論俺たちの3LAから。アリチェン感のあるジャケットもナイス。
Altar of ComplaintsはCease Upon The Capitol,、Dolcim,、Dawn、 Karoshiといったテネシーを代表するバンドのメンバーが現在進行形で動かしているバンドであり、今作では3曲提供。
激情系ハードコアmeetsシューゲイザーな音楽性はCease Upon The Capitolから変わらないし、今作に収録されている楽曲もナード感全開な繊細な美メロが響き渡っているが、それらの音楽性の融合にオリジナリティを求めるのでは無く、その先にある純粋な衝動を追求している。
特に「Tuffcoupleoctopus」はシューゲイズ要素を削ぎ落とした楽曲だからこそのアグレッシブなフレーズが交錯する名曲となっており、かつてのUS激情の空気感を漂わせつつも、懐古主義で終わらないフロンティア精神に溢れている。
SeeKは「革命と緩和」の1曲のみの収録であり、今作では唯一の長尺曲。
一昨年リリースしたEP「崇高な手」にてツインベースによる激重低音と怒号が渦巻くアングリーでありながら美しくもある孤高の世界を描いていたが、「革命と緩和」はその方向性をより突き詰めている。
「朽ちていく中で」ではポストメタルな音楽性を披露していたが、その要素を現在のSeeKの強靭なサウンドに持ち込んでいるからこその美重音が炸裂。
楽曲が進んでいくにつれて奈落感が増し、激昂する音と叫びが悲痛に訴えてくるSeeKの真骨頂がそこにある。
STUBBORN FATHERはMeatcubeからリリースされたディスコグラフィーに収録されなかった「未定」と「創造の山」の2曲を現編成で再レコーディングし提供。
Trikoronaとのスプリットでは行き先不明な衝動がアグレッシブかつ予測不能に乱打されるエモヴァイオレンスサウンドを展開し、時流に流されないブレない精神を見せつけていたが、過去の楽曲でもその不屈の精神は健在。
初期衝動の一番純粋な部分だけを形を変えて繰り出す「未定」もそうだけど、エモヴァイオレンスよりもストレートなハードコアサウンドが爆発する「創造の山」は未だにSTUBBORNのアンセムであるし、ザクザクと刻まれるギターリフやパンキッシュなビートの馬力と共に創造を解放する高揚と慟哭!!この得体の知れないマグマの様なドロドロとした熱さこそSTUBBORNの魅力だ。
メロディッククラストSanctionsのメンバーによって結成されたThetanはショートカットな全6曲を提供。今作の中ではかなり異質な存在感を放つ。
音楽性はクラストやグラインドといった要素がかなり色濃く、ノイジーな音を初期衝動オンリーで突き抜けさせるスタイル。メロディアスさよりも音のパワーに全力を尽くした脳筋スタイルでありながらも、Trikoronaなんかにも通じる不条理なパワーヴァイオレンス感もあり、ハウリング音が渦巻く中で、巨根なビートでガンガン突きまくる男臭さが堪らない!!
4バンドのベクトルはそれぞれ違うけど、ローカルに根付き、より深く潜っていく様な音をそれぞれ提供している。
それぞれのバンドが激音で共鳴し、流行りに流されないブレの無さを持つ。その精神こそが本当のハードコアパンクであると僕は勝手に思っている。
今作は3LAにて購入可能。日本での流通枚数はあまり多くないらしいのでお求めはお早めに!!