■BACKBONE/BACKBONE

現在はBBで活動するRyuji氏がかつてボーカルを務めていた幻のバンドBACKBONEの唯一の音源となるミニアルバム。リリースは今や伝説のレーベルとなってしまったZK RECORDSから。
BACKBONEはRyuji氏の他のキャリアに比べると存在が幻みたいになってしまっているバンドではあるが、時期としてはCOCOBAT脱退後に結成したバンドであり、今から実に20年前のバンドでもある。
肝心の音楽性であるが、現在Ryuji氏のパーマメントなバンドであるBBの音楽性にはこのBACKBONEが一番近いと思う。BBと比べると90年代の時代感を感じる音ではあるけど、不思議と古臭さは無く、寧ろ色褪せなさのが強いだろう。
変拍子主体のトライヴァルなビートの作り方は現在のBBにも通じるけど、ギターフレーズの盛り込み方はBBよりも直接的なヘビィロックだ。第1曲「Happiness」は合間合間にジャズの要素も盛り込んだりしているが、常に殺気立ったボーカルとギターリフが爆発に次ぐ爆発を繰り返す。
第2曲「現今」はジャンクロックな要素も色濃く、ヘビィロックというより寧ろ後のカオティックハードコアなんかにも通じる音だ。今でこそあらゆる音楽が発展や進化を繰り返したからアレだけど、この時代にこの音はかなり斬新だっただろうし、それらの文脈が整った今の時代に聴くと余計に凄さが分かる。
怒りを孕んだ暴走ヘビィネスである第3曲「自己憐憫」。ブルドーザーの様な音と、それに負けず劣らず凶暴なRyuji氏のボーカルに処刑されてしまう第4曲「自覚」、鋭角のダークネスが無慈悲な重さで降り注ぐ最終曲「Conquer The Dark Ages」と全5曲に渡って強烈なヘビィロックの連続だ。
もう20年以上前の作品ではあるが、2015年に今作に触れて改めて思い知ったのは、Ryuji氏はこの時代から他になりオリジナリティ溢れるヘビィロックを生み出そうとした事だ。
単なる前時代的なヘビィロック作品じゃなく、現在のエクストリームミュージックとなんら遜色の無いレベルの物を90年代のまだ文脈も何も無かった時代に生み出している事に驚く。
そしてBACKBONEでのオリジナリティは現在BBへと姿を変え、よりダークにより混沌とした更に新しいヘビィロックとして生まれ変わっている。
ZK自体が既に消滅しているレーベルなので、中古レコード屋とかで見つけたら迷わずゲットして欲しい隠れた名盤。
↑
BACKBONEの音源聴ける場所がネットに無かったので、代わりに現在のBBのMVを。