■Bullshit Propaganda #10(2015年11月19日)@西横浜El Puente

 神奈川が誇る暗黒ブラッケンドパワーヴァイオレンスであるSu19bの記念すべき10回目の自主企画はなんと木曜のド平日に外タレ5バンドを含む総勢9バンドという色々と無茶しまくりやりすぎな物になってしまった。
 先日スプリットを共にリリースしたシカゴの陰鬱ドゥームDisrottedをはじめ、ゴアグラインドからノイズグラインドからダーククラストまで勢揃い!!国内バンドも含めたらフューネラルドゥームまでとエクストリームミュージックの極点とも言えるイベントとなったのだ。何故平日にこれをやってしまう!?
 そんな訳で一部では地の果てとか世界の最果てと呼ばれている西横浜まで前回のSu19b企画同様に遠路はるばる足を運んだのであります。



・Su19b

 予想通りというかなんというか、企画者がハナかいって突っ込みは無しでお願いしますって感じで主催のSu19bが今回もトップバッター。アンプの音は生音の筈なんだけど、サウンドチェックの時点で2段積みされたキャビからは凶悪でしかない重低音が響いてくる。
 ライブ自体もいつも通り20分程でサクッと終わらせる物であったが、たった20分で生み出す地獄が極端にまで振り切っている。バンドの演奏の安定感もあるけど、安定感の先にある名前すら分からない混沌を今のSu19bは生み出そうとしているんじゃないかって僕は感じる。
 それはただ速さと遅さを両極端に振り切ったからでも、ブラッケンドな音に振り切ったからでも、音が極端にヘビィだからでも無い。ストイックにパワーヴァイオレンスを追求し続けたからこそ到達出来た境地でしかない。
 ライブバーですら真っ暗な洞窟へと変貌させてしまい、リバーブかかりまくったグロウルが木霊し、四方八方を怨霊が飛び交う様な世界へと変貌させるバンドは他にいない。世紀末型パワーヴァイオレンスは理不尽なまま全てを飲み込んでいくだけだった…



・Funeral Moth

 お次も重くて暗いよFuneral Moth。今回は20分で全1曲のライブではあったが、逆に20分とか30分位のセットの方が初めてFuneral Mothを観る人には優しい気もしたり。
 相変わらずな心拍数停止ビートで美しく陰鬱なメロディが紡がれながら痛々しいグロウルが幽玄に響くと言う儀式めいたライブではあったけど、このバンドはしっかりと音に酔わせてくれるのも良い。
 そして最後の最後のロングギターソロで感傷の世界へと一気に引きずり込んでくるからずるい。そんな事されたらもっともっと長い時間この陰鬱なる世界に酔いしれてしまいたくなるじゃないか。
 今回はたった20分のライブではあったけどインパクトは相変わらず十分だったし、美しく重いフューネラルドゥームの世界に心酔しっぱなしでしたわ。



・2 Minuta Dreka

 ここまでの陰鬱な空気を完全に壊したのはイタリアのお下劣ポルノグラインドである2 Minuta Drekaだった。
 メンバー全員謎にコスプレしているし、MCではやたらとHENTAIを連呼しているし、ボーカルの奴はマイクを自分の股間に擦り付けてるし(汚い)と何から何まで下品極まりないバンドだ。こんなん口うるさいPTAの奥様方が見たら失神してしまうんじゃないか?
 だけど意外や意外、曲は非常にキャッチーで軽快なドラムとギターの刻みは聞いてて凄く気持ちが良い。演奏もやたらと安定感があるから、音のグルーブを純粋に楽しめる。
 だけどHENRTAI ROCK'N ROLLを自称している通り、結局はどんなにキャッチーだろうと品性の無さが観る物をグラインドさせていくライブだった。こうしたポルノグラインドのバンドはアウェイな空気になるんじゃないかって気もしたけど場を完全に掴んでしまっていたよ。



・Self Deconstruction

 観るのは本当に久しぶりなセルコン。3人編成になってからは初である。
 例えボーカルが一人減っても音の破壊力は全く衰えていなかったし、ショート&ファストな楽曲群に圧倒的情報量を詰め込みまくったセルコン節は今回も見事に炸裂。
 外国人の客がセルコンのヴァイオレンスな音に激しいモッシュを繰り広げていたのも印象深かったけど、このバンドは竜巻の様に全てをなぎ払っていく興奮がある。
 以前に比べると気持ち少し長めにライブしていたとは思うけど、それでも20分に満たない時間で全てを出し切る爽快感。ライブじゃ最早何をやっているのか頭じゃ理解し切れないけどそれで良い!!この毒々しく駆け巡る音がセルコンなのだから!!



・FINAL EXIT

 ここからは狂気のノイズグラインドタイム。Su19bのドラマー菊地氏のもう一つのバンドであるFINAL EXITの時間だ!!
 この時点でタイムテーブルが大分押してしまっていたのもあって、恒例のMCタイムは無しではあったが、メンバー紹介(2人しかメンバーいないけど)からたった5分間で繰り出される変幻自在の音の数々に拍手喝采の連続!!
 ノイズグラインドって何かって結局僕は分からないし、最早哲学的な何かなのかもしれないけど、FINAL EXITの前じゃそんな思考は完全に無駄でしか無い。
 1曲1曲の曲の違いがちゃんと分かってしまったりするのもあるけど、たった2人で繰り出している演奏がどこまでもシャープでありロックンロールなのだ。だからこそたった5分のライブで観る者を興奮させる事が出来る。曲間の「ありがとー!!」も含めてエンターテイメントに出来てしまってるんだから恐ろしい。
 でも押しててもMCタイムはあって欲しかったなあ…



・Sedem Minut Strachu

 ここからが本当の地獄だ!スロバキアからやってきたぞ!!Sedem Minut Strachu!!セッティング終わってFuneral Mothの畔上さんが普通にステージにいる時点で僕は考える事を止めた。
 ご丁寧にアンプの上にタイマーをセットし、本当に7分キッカリ滅茶苦茶やって帰るだけのライブ。マジでこいつら頭の中にパンの耳でも詰まってるんじゃないかと疑いたくなったのが第一、無駄にツインベースだけどどっちもマトモにベース弾いてないし、そもそもドラムすらちゃんと叩いているのか怪しい。
 畔上さんから始まり、ボーカルマイクはその場にいた客みんなでリレーして叫ぶってスタイルになっていたのも笑ったけど、西之カオティックの星野さんにマイクを渡されて30秒位勢いで叫んで参加してしまったよ…星野さん曰くノイズグラインドはマイクジャックとかそういうのが最右翼なジャンルみたいですね。
 何はともあれ何が何だかよく分からないままあっという間に7分が経過しライブは終了。ステージは滅茶苦茶だし、ベース弦ほぼ切れてるわって単なる惨劇でしか無かった。最大の褒め言葉として言いますけど最高にゴミで素晴らしかったです。というかこれやる為にわざわざ日本に来たのかお前らは。



・Deche-Charge

 Sedem Minut Strachuが全てを滅茶苦茶にしてしまったけど、次も嫌な予感しかしないカナダのノイズコアDeche-Charge。ってSedemのベースの奴がブチ切れたベース弦直さないでセッティング開始したし、もう何がしたいのか既に分からない。
 そして今度はメンバー全員覆面を被ったルックスでライブがスタート。明らかにメンバーじゃない何処かで見た事ある様な日本人が普通にボーカルしてるけど、もう突っ込むのはやめたよ僕。そもそもベースの弦切れてるからノイズしか出てないよね。うん。
 なんかノイズにすらなってない状態の音が終わり無く繰り返され、色々と呆然としたままライブは終了。多分10分もライブやってないけど、最高の褒め言葉として言わせて頂きます。最高にゴミで素晴らしかったです。
 というかこれやる為にわざわざ日本に来たのかお前らは。色々な意味で頭に脳味噌あるのか疑ってしまいますよ。



・Dark Horse

 狂乱のノイズグラインド三連発が続いてまたまた外タレだ。オーストラリアのダーククラスト若手のホープDark Horse。個人的に今回の外タレバンドの中で一番楽しみだったバンド。
 セルコンの時に大暴れしていた外国人モッシャー兄貴がはしゃいでモッシュしまくった勢いで流血なんて事件もあったけど、こんな音を浴びたらテンションもマックスになっちまうよなってヴァイオレンスな暴れ馬サウンドは重くて疾走感に溢れつつストレートな格好良さしか無い!!
 叙情的なメロディやブラッケンド要素も盛り込んだサウンドだけど、基本的にはダーティなクラストサウンドをノンストップで放つ男気溢れるハードコア。結果論でしか無いけど、シンプルなハードコアの強さを嫌でも感じさせるライブだった。
 ブレーキって概念が完全に崩壊しているドラムの爆走具合が曲を引っ張り、メロディをしっかり想起させつつも歪んだ音だけをリフで叩きつけるギターと図太いベースと暑苦しい雄叫びボーカル。ハードコアはそれさえあれば格好良いんだぜ!!って言わんばかりの直情的過ぎるハードコアはただただ痺れた!!
 30分に渡って新しくも泥臭いハードコアの連続であり、今回のイベントで一番ストレートな音を彼らは鳴らしていた。だからこそ心にガツンと致命傷を残してくれた。



・Disrotted

 激音と混沌の連続だったプエンテだけど、最後の最後にシカゴの陰鬱ドゥームトリオであるDisrottedで完全に止めを刺されてしまった気分になったよ。
 長丁場で疲れ切った体をまだ痛めつけてやろうとばかりにベースレスの黒煙ドゥームが終わり無く響き渡る…やっぱりほぼシンバルしか叩いてないドラム、気分をどん底へと突き落とす鬱病ボーカル、ハウリングノイズ作りで職人業を見せつつも、ひたすらストイックにリフを淡々と奏でるギター。本当に絶望感で押し潰されそうになる。
 ここまで何だかんだパーティポルノグラインドやハチャメチャノイズグラインドが続いたのもあったけど、最後の最後にこの日一番キャッチーさとは程遠いバンドが登場する事で、色々な意味でインパクトが凄かったけど、ここまで陶酔も出来ない、寝てしまう事も出来ない拷問ドゥームを生真面目なまでにプレイしてるのだから凄い。
 今回も30分に渡る地獄をじっくりと体感させられたが、拷問サウンドもここまで来ると最早天晴れであり、音がのしかかってくる重みすら最早心地よく感じてしまった。



 平日に西横浜で9バンドという色々試されている感じのあった今回のSu19b企画でしたけど、外タレ5バンドとか抜きにして、遊びに来ていた人にはインパクトばかり残る波乱のイベントになったと思う。
 ここ最近は本当に外タレ来日ラッシュだったし、このイベントの翌日はオブシン開催なんてあったりもしたけど、最早外タレ云々抜きで、平日にこうしたエクストリームミュージックの祭典が普通に出来てしまう時点で日本も中々に素晴らしい国なんじゃないかと僕は思ったりもする。
 改めて主催のSu19bの皆さん本当にお疲れ様でした。ここに感謝とリスペクトの念を記します。
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