■Iron Scorn/Legion Of Andromeda

東京で活動するミニマル・プリミティブ・デスメタルユニットLegion Of Andromedaの2015年リリースの1stアルバム。レコーディングはかのスティーブ・アルビニが手がけている。
彼らは昨年末のZOTHIQUEとの2マンで知ったが、極限のトーチャーサウンドにド肝を抜かれてしまった。
イタリア人ボーカリストと日本人ギタリストの2人組インダストリアルユニットである彼らだが、ミニマル・プリミティブ・デスメタルと称される所以は今作を聴けば分かるだろう。
音の構成自体はどの曲も殆ど終わりのないループにより構成されている。ノイジーかつ無感情なギターとリズムマシーンのビートが繰り返す反復、ボーカルが楽曲に変化を付けている感じで、曲の中で展開という物は実質存在しないに等しい。最小限の音階と展開によって構築されている楽曲は確かにミニマルではある。
だが音の構築方法がミニマルなだけであり、構築する音その物は極端な地獄。メロディという概念は完全に皆無であり、デスメタル成分がプンプン匂うブルータルなリフの拷問的スラッジリフに悶絶。しかもリズムマシーンのビートもほぼ変化が無く繰り返されるだけだから感情移入する余地なんて全く与えてくれない。
こう書くと聴いているとひたすら自分との戦いな音だと思ってしまうかもしれない。だけど拷問的な音でありながら、ミニマルに繰り返される音がもたらす陶酔的効果により、聴いている内に苦悶の音が快楽へと繋がってしまうのがこのユニットが持つ不思議な魅力だ。
単純にリフ自体のセンスが良いってのもあるけど、GodfleshやSWANSといったインダストリアルのゴッド達の流れを汲んだ音でありながら、Big Black辺りの機械的反復の美学、そこにKhanate的拷問スラッジなテイストを加えた事による黒がドロドロに溶け合った物を機械的に放出・切断された異形さ。非常にオリジナリティに溢れる物となっている。
ライブでは終わり無く繰り返されるストロボのみの照明によって視覚にもダメージを与える毒素のみのステージングを提示。音だけじゃなくアートワークやステージングに至るまで徹底的に猛毒だけを生み出している。
トーチャー系の音だから聴く人こそ選んでしまうとは思うけど、デスメタルやインダストリアルが持つ最も危険な部分を凝縮したサウンドは変態極悪音楽愛好家にとっては眉唾物だろう。その手の音が好きな人は要チェック!!