■BACTERIA presents mosaic vol.1(2016年4月10日)@東高円寺二万電圧

 本当にこの日を心から楽しみにしていた。Funhouseを母体に結成された唯一無二のハードコアバンドPIGMEN。これまで二枚のアルバムをリリースし、超ショート&ファストで鋭利なサウンドにユウキ氏の皮肉と風刺とメッセージ性が痛烈な言葉が乗るサウンドスタイルは正にハードコアパンクの理想形。5年近くに渡って活動休止状態だったが、今回のBACTERIA企画で最前線にカムバック!!しかもユウキ氏がギターボーカルを務める3ピースの結成当時のオリジナルメンバーでの再始動だから燃えない筈が無い!!



 この日はPIGMENがトップだったけど、先ずはトリを務めた主催のBACTERIAのライブについて書く。この日のBACTERIAは浮遊感溢れてポップでキャッチーな印象を受けるステージとなったけど、BACTERIAのライブの良さってその時その時で全然違うテンションやトーンのライブを展開するけど、どこをどう切ってもBACTERIAだけの音を常に発信し続けている事だと思う。
 キャリアもかなり長いバンドであり、時代を作り上げたバンドの一つであるけど、BACTERIAは昔から現在まで核の部分を全くブレさせずに、聖域にも老害にもならず、常に最高の曲とライブを展開し続けているだけなのだ。
 ジャンクでノイジーでありながら、メランコリックでポップという矛盾をバンドの中で成立させ、単純な曲の完成度の高さ、ライブの完成度と演奏力、場を盛り上げる力といったバンドとしてのポテンシャルの高さをBACTERIAは持っている。
 特にまだ音源化はされていないがここ最近のライブでよくプレイされている新曲「winter#3」はこれからのBACTERIAを象徴する屈指の名曲であり、感傷的過ぎて涙が溢れそうになるアルペジオがエモーションを引率するそれは不思議と心に温もりを与える。
 アンコールは一転して爽やかな風を吹かせる「SOLEIL」と全10曲に及ぶセットは狂騒と感傷を超えた先にある柔らかな温もりで終わりを告げた。このバンドはやっぱり替えのいないバンドだ。



 そしてこの日のトップを飾りながら全てを持っていったPIGMENについて書く。ユウキさん、三國さん、そしてオリジナルベーシストであるマスピーさんの三人がお揃いのツナギ姿で顔をマスクで覆った出で立ちでステージに登場した瞬間に僕の中で一気に何かがこみ上げてしまった。
 僕が実際にライブで目撃したPIGMENは宮本さんがギターを弾き、ユウキさんはピンボーカル、ベースはデラシネのコレヒコさんの「サヨナラクソ世界」の頃の編成だったのもあるけど、こうしてずっと憧れていた(とは言え世代的に完全に後追いではあるけど)結成当初のPIGMENが観れる、これがまず嬉しい。
 そして「電話でブチコロセ」からライブはキックオフ!!序盤はまだ演奏に硬さが残るライブで「やっぱりブランクは少なからずあるんだな」と思ってしまったけど、そんな事を思ってしまった自分が今となっては凄く恥ずかしい。
 4曲程プレイしてユウキさんがマスクを剥ぎ取り、マスピーさんもマスクを剥ぎ取って素顔を晒してから一気にギアが入り、そこからはブランクは全く感じさせない現在進行形のPIGMENが目の前にあった。
 ユウキ氏のギターはキレを増幅させ、金属的な辻斬りリフをお見舞い、マスピーさんのゴリゴリの鋭角ベースの急降下っぷりと重みも段違いになり、三國さんの怒涛のドラムがフロアを爆撃、3ピース編成だからこその三位一体のサウンドに体内の血液も沸騰し、心臓が爆発しそうな感覚をダイレクトに味わう。
 「日記」や「告白」といった「少年アルトラ」に収録されている楽曲はユウキさんとマスピーさんのツインボーカルの怒号も高まり、本来楽曲が持っている圧倒的情報量が更に倍増して襲いかかってくる。「サヨナラクソ世界」の楽曲を中心にプレイした後半にはPIGMENのテンションはブランクゼロで過去の伝説的バンドの再結成ライブである事を忘れ去ってしまう程の出来に、フロアもモッシュが発生しPIGMENとフロアの磁場も混沌へと向かう。
 ハイライトは終盤にプレイされた2分未満で爆走するにも関わらず悲劇的な雨が降り注ぐハードコアバラッド「未来」だった。Funhouse時代の「Happy End」や「Angel」といった救いの無い世界を描く名バラードに比肩する屈指の名曲に僕は涙が本気で止まらなくなる羽目に…Funhouse時代の「Happy End」と「Angel」の2曲は日本のオルタナティブロックの完成系で究極系だと僕は思っているのだけど、PIGMENでの「未来」は日本のハードコアの完成系で究極系だって事を改めて思い出したし、この時は頭がぐちゃぐちゃになってしまっていた最早よく覚えてない。
 だけどラストの2曲は「大いなる野望」と「君ハ何処ヘ堕チタイ?」という皮肉たっぷりな2曲で締めくくられ、僕のそんな感傷すらPIGMENは嘲笑っていたと思う。感傷なんかそのそも必要なかった。PIGMENは最高のテンションで帰ってきたし、再結成云々とかブランク云々とか最早必要無い。PIGMENは2016年のハードコアパンクとして二万電圧で鳴り響いたのだ。それでいい、それが最高だ。



 長々と書き連ねたけど、Funhouse時代は完全に後追いでPIGMENを聴き始めたのも「サヨナラクソ世界」がリリースされた当時という完全に後追い世代な僕だけど、安売りされた唯一無二じゃない、本物のハードコアパンクが帰って来た!!そして最高のライブでブチ殺してくれた!!それが何よりも嬉しかったし、ライブ中に何度も泣いてしまったけど、ライブが終わったその瞬間は興奮だけが僕の中にあった。
 PIGMENはこれからもライブ活動を続けていくだろう。いつになるかは分からないが新しい音も僕たちに届けてくれるに違いない。冷笑と空虚と悲観と厭世が入り混じったこのクソ世界にサヨナラをする為にPIGMENは戻ってきた。そんなクソ世界を嘲笑うゴミみたいな集団意識も仲良しこよしも無い本物が2016年に存在している。だから今こそこれからのPIGMENの活動をみんなで追いかけるべきだ!!
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