■Noise Slaughter vol.9(2016年7月10日)@新大久保EARTHDOM

 早くも第9回目を迎えたBB主催の鉄板企画「Noise Slaughter」。今回はよりコンセプチュアルアートな世界を構築し始めたアートコアバンドwombscape、新機軸のHEAVINESS常に提示するBOMBORIを迎えての3マンとなった。
 wombscapeもBOMBORIも今年から新体制となり、これまでのサウンドを変化させながら新たなる独自性を模索しているが、そんな2バンドに対しキャリアや時代性を超え、進化する激音を叩きつけるBBはどう迎え撃つのか? 三つ巴の決戦が始まった。



・wombscape

 新ギタリストHirokiを迎え新体制で活動を開始したwombscape。これまでも持ち込み照明やキャビに絵を施す等アート的な方面でもアプローチを繰り出していたが、現編成になってからマイクスタンドやアンプに蔦をモチーフにした小道具を装飾し、以前にも増して明確なコンセプトが伝わりやすくなった。
 現編成になってからの新曲の方はハードコア要素を完全に削ぎ落としたダークアンビエントな楽曲や、ブラストビートも取り入れ以前にも増して攻撃的なアプローチを取り入れながら、楽曲のストーリー性が際立つ新たなる看板曲「枯れた蔦の這う頃に」とアートコアバンドとしてより深みを目指している印象を受ける。
 現体制になってからプレイしていなかった「新世界標本」、「正しい愛が正しい絶望に変わるまで」もこの日はプレイし、バンドが持つ視覚的な音の世界も存分にアピール。約35分程のライブで色彩が溶け合う現象を体現していた。
 ライブ自体は個々の持つポテンシャルの高さこそあれど、現体制になってからの音がまだ固まりきっていない部分もあったりした。今後、バンドが持つ世界観をより多次元な物へと進化させながらも、バンドその物の音が確固たる一枚岩になったら更なる次元に到達出来るだろう。wombscapeはもっと高いステージへと立てるバンドなのだから。



・BB

 過去最長の約一時間に渡るロングセットで挑んだ主催のBBは常に最高記録を更新し続ける実力の高さを見せつけるライブを今回も展開していた。
 カオティックハードコア・ヘヴィネス・ジャンクロックとBBを形容する言葉はどれも不十分になってしまうのは、BBがダークな歪みを表現するバンドだからだ。ミドルテンポ主体の楽器隊の音は曲を重ねる毎に音域の重さからグルーブの重さへと変わり、最終的には精神的な重さへと繋がる。
 バッキバッキに歪んだベースと変拍子とリズムチェンジを繰り返しながらも殴りつけるドラムのグルーブ、ジャキジャキにジャンクなリフを吐き出すギター、怒号その物でありながら色香と痛みを体現するボーカル。黄金カルテットによるドス黒いマグマはより粘度も熱を高めた物へと変わり続けていく。
 恐らく現時点での持ち曲は全てプレイしたセットになったが、ストレートにヘヴィさを吐き出す楽曲も不気味な蠢きで青黒い濃霧の様な空気感を生み出す楽曲もそれぞれの楽曲がリンクし続けながら細胞分裂を繰り返す。単なる演奏発表会で絶対に終わらず、ライブという場で呼吸も血流も感じさせるのがBBの真の魅力。
 照明が後光だけ、MCゼロ、ほぼノンストップで一時間に渡って繰り出されたライブはRyuji氏がマイクを床に捨て去り終了。圧し潰される緊迫感の中で観る人の内面世界を暴いていく痛快さすら感じた。そして何度も書くが、本当に単独音源のリリースが待ち遠しい。これだけ凄まじいライブをするバンドが、未だに正式リリース音源が無いという事態はおかしいのだ。



・BOMBORI

 トリのBOMBORIは先日、前作「PRAYGROUND」から僅か半年というスパンで現編成での新作アルバム「we are cured, fuck you.」を突如bandcampでフリーダウンロード配信という暴挙に出て話題になった。新作「we are cured, fuck you.」は「PRAYGROUND」とは全く違うサウンドへと変わっており戸惑った人も多かった筈。
 そんな中で約一時間に渡るセットで挑んだ今回のライブだが、現在のBOMBORIがただ4人になってサウンドチェンジしただけじゃ無いと証明されるライブとなっただろう。表面的な音は現在進行形のパワーヴァイオレンス方面へと接近したが、それはあくまで表層であり、これまでのBOMBORIの中にあったストーナーやドゥームといったキーワードの音がより明確なHEAVINESSとして体現されただけだ。
 一曲一曲ただヘヴィさを垂れ流すのではなく、明確なフックを用意した上で吐き出す。更なる新曲も飛び出す中で一番驚いたのは現編成で全く別の魔改造アレンジが施された「Prayground」だ。よりソリッドで贅肉を削ぎ落としたサウンドフォルムへと変貌しながらも、元々「Prayground」という楽曲が持っていた核の部分を剥き出しで表現していた。
 続く「dear pap」からラストまでは怒涛の勢いで駆け抜けてライブは終了。TPOGalaxyは常にステージの真ん前で叫び尽くしフロアを大きな盛り上がりへと誘い、楽器隊3人もフルバーストの熱量で自らのHEAVINESSを爆散。
 現編成になってからのサウンドチェンジは人によって賛否両論かなり別れるだろうし、僕個人としてはリズム隊の二人にはパワーヴァイオレンス的アプローチから更に踏み込んだ表現を是非とも目指して欲しいと願っていたりする。だが、人々の期待や困惑へと唾を吐いて自らの信念を貫くBOMBORIというバンドは確かな正義だ。




 毎回間違いの無い本物のバンドのみが出演するNoise Slaughterだが、今回もカテゴライズに唾を吐く3バンドにより邂逅のドキュメントとなったに違いない。目指す先は全く違えど、それぞれが他が到達出来ない場所を目指している。それだけで十分であり、wombscape、BB、BOMBORIの3バンドが本物である事実は揺らがない。
 記念すべき第10回目となるNoise Slaughterは10/15にアースダムでCoffinsとNEPENTHESを迎えての3マン。世界レベルのヘヴィロックを放つ2バンドはBBにどう立ち向かうのか、今から楽しみで仕方ない。
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