■いいにおいのするKrallice Japan tour 2016 東京編2(2016年8月6日)@渋谷TSUTAYA O-NEST

 4年越しの約束が遂に果たされた。ニューヨークを拠点に活動し、今やポストブラックメタルの代表格のバンドにまで上り詰めたKrallice。本来は4年前に来日公演を果たす筈だったが、それは果たされずに終わってしまった。そして4年の歳月を経ていよいよ待望の来日公演が果たさせる運びとなったのだ。
 国内サポートはこれまで数多くの海外の猛者を招聘し、今回のKrallice来日を実現させたVampillia、台湾・中国ツアーを成功させ、いよいよヨーロッパに殴り込みを仕掛けるCOHOLといった国内勢に加え、Seefeel・Locustのメンバーとして知られるMark Van Hoenもソロで初来日を果たして共演するという贅沢極まりない一夜。
 Kralliceは本国アメリカ以外で殆どライブを行っておらず、今回の来日公演は貴重な一夜。という事もあってか当日のnestは大入りとなり集客的にも大成功だったのでは無いだろうか?ブラックメタルから電子音楽までという異様な一夜は果たして日本のエクストリームミュージック愛好家にどんな衝撃を与えたのか。これは一つの事件のドキュメントだ。



・Mark Van Hoen

 ハナからMark Van Hoenのライブという非常に贅沢な感じで始まったが、僕個人としてはLocustが大好きな事もあり、Markがソロではどんな音を鳴らすかは凄く楽しみだった。
 音としては少し洒落た感じもするエレクトロニカ・アンビエントなサウンドとなっており、音だけで世界観を感じさせる物。VJを使用してのライブという事もあって、音の世界観への陶酔具合は中々の物。
 同時にブレイクコア方面にも足を伸ばした音の鋭利さも際立ち、インダストリアルなエグさもサウンドに内包されていたのが個人的に凄くツボを突いて来る。幻想的なサウンドアプローチに中に隠された攻撃的電子音の連続に思わず心が踊ってしまう。
 ライブ自体は30分程ではあったが、のっけからかなり楽しませて貰った。多方面で活躍するMark Van Hoenの実力を肌で体感したよ。



・COHOL

 個人的にはKrallice以上に楽しみだったCOHOL。今年の2月の2ndアルバム「裏現」リリースツアーのファイナル以来実に半年振りの日本でのライブとなったが、海外公演を経てCOHOLというバンドは更に強靭になって僕たちの元へと帰ってきた。
 転換こそ時間がかかってしまったが、その分最高のライブでお返しするぜとばかりによりソリッドで切れ味の増した音で攻めにかかってくる。「下部構造」、「地に堕ちる」といったライブでお馴染みとなった曲の精度もパワーアップを果たし、特に現在のCOHOLのキラーチューンである「暗君」は三位一体のサウンドがより正確さも鋭さも増して襲いかかってくる凶悪な物に。
 ITARU氏の「沢山仲間増やして帰っ来たぜ!!}という激熱MCもフロアを大いに盛り上げ、何度も何度もフロア中から突き上げられるメロイックサインはCOHOLと共にシーンを作り上げているという瞬間をダイレクトに感じさせるピュアネスその物だった。
 個人的に「裏現」で一番大好きな「急性期の終わり」を今回聴けたのが心から嬉しかった。ライブで全くプレイしていなかった楽曲ではあるが、COHOLの持つブルータルなエグさも壮大なストーリーも全て内包したエピックさすら感じる大名曲は今のCOHOLだからこそ演奏する事が出来たのかもしれない。
 その音楽性もライブも素晴らしいが、COHOLにはブラックメタルとか激情ハードコアとかという陳腐なワードは必要ない。全てが熱き魂を持つ仲間と共に作り上げる物語であり、誰もがその物語の当事者なのだ。音楽を愛する者達と生み出す熱き一大巨編。それがCOHOLというバンドだ。



・Vampillia

 今回の主催の大阪のやらかし集団Vampillia。セッティングが終わっていざライブかと思ったらKralliceのメンバーが登場し、一瞬Vampillia+Krallice!?と思わせる演奏が始まったが、普通にミッチーが登場しツッコミを入れるなんて茶番を繰り広げつつしっかりライブをスタートさせる。
 去年とかは毎回毎回色々なネタを仕込んでいた印象が大きかったが、この日のライブはお馴染みの脚立芸以外はネタ要素は殆ど抜きにしたVampilliaの音楽的実力を存分に発揮したライブとなったと言える。
 お馴染みの「Ice Fist」から最新シングル収録の「fuck you」まで彼らの中でもアグレッシブに攻める楽曲中心のセット。その中でも多人数楽団ならではの音の奥行の深さまで自在に表現するライブパフォーマンスは相変わらず高いクオリティ。ネタ的な部分がどうしても目立ってしまう彼らだけど、ネタ的な要素をほぼ封印する事によって彼らのバンドとしての実力の高さが垣間見える。
 終盤はKralliceのドラマーを迎えてのスペシャル編成でのライブもサプライズとして展開され、ただでさえ完成度の高いVampilliaのライブに更にビートの凄みを与える凄まじさを見た。どこまでも全力で音楽も馬鹿もやれるバンドだからこそ毎回毎回のライブに確かなドラマが存在する。このバンドはまだまだ色々やらかしてくれる筈だ!!



・Krallice

 そしてその実力が遂に白日の目に晒される事になったKrallice。メンバーご登場するや否や大きな盛り上がりとメロイックサイン。多くの人々がKralliceのライブを目撃したくて仕方なかったのだ。
 セットは最新作を中心に実に70分程に及ぶ地獄セット。まずは6弦ベースを弾き倒しながらボーカルも平然と取るベースの演奏技術の凄まじさにド肝を抜かれ、更には地獄のトレモロを無慈悲に叩きつけるツインギター、弦楽器隊のアグレッシブな演奏を安定した演奏で支えるドラムと「こいつら本当に人間か!?」と疑いたくなるライブの出来の凄さに漏らしそうになる。
 ブラックメタルらしい世界観的な物すら徹底的に排除し、人間離れした演奏による不条理の連続を70分も浴びていたせいで脳が情報を処理し切れなくなってパンクしそうになる。
 取っ掛りこそあるが全くノレない。目の前で繰り広げられるトレモロ地獄に口をポカンとさせて呆然と眺めるだけになってしまい、曲間のレスポンスこそ凄かったが、観ていた人々はあまりの常識外れのライブに呆然とするだけになってしまったと思う。
 初期の曲もプレイしていたが、初期の楽曲も現在の楽曲も人間的要素は徹底して削ぎ落とし、気合いが入った演奏すら理解困難の混沌へと突き落としてくる始末。
 70分に渡って轟音を浴びて満身創痍になってしまったが、ライブ終了後はなんとも言えない開放感というか、憑き物が取れたみたいな気分になった。毒で毒を解毒するみたいな感覚すらあった。
 これを書いている今でもKralliceのライブは理解不能の領域ではあるが、一つだけ言えるのは本当に凄いライブを目撃してしまったって事だけだ。



 全ライブ終了こそ遅い時間にはなってしまったが、沢山いたお客さんの誰も帰らずに最後まで混沌の地獄を満喫していたのが印象に残っており、まだまだエクストリームミュージックも大きな盛り上がりを作ることが出来るんだなって改めて実感できたのも今回個人的に嬉しかった事でもある。それとたくさんの人と普通にコミュニケーションを取っていたKralliceのメンバーはステージとギャップを感じる位にフレンドリーな印象だった。
 4年越しの約束を果たして下さったいいにおいチームの皆さん、本当にお疲れ様でした。次は是非ともLiturgyを呼んでください!!
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