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■EXTREME MAD TERROR -Jack The Stripper(AUS) Japan Tour 2016 w/NoLA-(2016年9月3日)@新松戸FIREBIRD

 昨年、NoLAの招聘により来日を果たしたオーストラリアのカオティックハードコアバンドJack The Stripperが、今年もNoLAの招聘によって再び来日を果たした。全4公演。仙台・千葉・横浜・東京と決して本数は多くは無いツアーではあったが、各所で国内の実力派の猛者がJack The Stripperを迎え撃つという激熱なツアーだ。
 そのツアーの2本目となる千葉公演は新松戸FIREBIRDの名物企画「EXTREME MAD TERROR」にて国内の多数の個性溢れる猛者がJack The Stripperの首を狙うというバトルロワイヤルな一夜。土曜の夕方前から激音に溺れる濃厚な一日となった。



・小手

 トップバッターからいきなり小手である。かなり久々にライブを観る事になったが、トップから新松戸を自らの自問自答の世界へと飲み込んでいく圧倒的なアクトを見せてくれた。
 約25分の持ち時間でプレイされたのはたったの2曲。小手というバンドが歌い上げる繊細で決して明るく無い、仄暗いリアルを歌え上げるたった2曲であったが、このバンドはたった2曲で自らの全てを曝け出せるバンドだ。
 ほぼポエトリーで生々しい現実との対峙、退くに退けなくなってしまった事への後悔、それでも必死に足掻いていく強さ。特に「お前も俺もまだ何も始まっちゃいない。」と何度も何度も自らに言い聞かせる2曲目にプレイされた新曲が小手屈指の名曲と言える物だ。
 和の音階を大切にしたポストロック的なアプローチがじわじわ熱量を上げ、最後の最後はダイナミックな各楽器のぶつかり合いによって生み出されるクライマックス。この声と音が届く全ての人にむき出しのまま訴えかける力。緊張感溢れるライブだったが、その終焉は開放感の中で自分自身を許される気持ちとなる物となった。この途方もないエネルギーが生み出す生々しい表現は日本語の分からないJack The Stripperの面々にもきっと伝わった筈!!



・Azami

 この日唯一初見のAzamiは色々な所でその評判は聞いていたので観るのが楽しみだったバンドの一つ。サウンドスタイルは柏シティハードコアの血統を色濃く受け継いだ叙情系ハードコアであるが、メロディアスなフレーズが疾走するさなかの瞬発力と筋力のタフネスは中々の物。やっている事自体は特別目新しさがある訳では無いが、真っ直ぐにフロアを射抜く熱量は確かに心に響くものがある。
 メロディと叫びから情景を想起させるアンサンブルの立体感も良いが、小手先の誤魔化しなんて何一つ無い純粋無垢なパッションを25分で全て出し尽くす短距離走型のライブパフォーマンス、ここぞという所での爆発力は積み重ねてきたライブによる確かな実力から生み出されている物。小手と一転してアプローチも音楽性も違うバンドだったが、その実力は確かな物!!



・wombscape

 新体制も大分板に付いてきたwombscape。序盤は久々に「新世界標本」の楽曲群をプレイし、旧体制でリリースされた音を現体制の音としてアップデートが進行している事をアピール。これらの楽曲は何度もライブで体感していたが、サウンドによりソリッドな攻めの部分が表出されている様にも感じる。
 中盤のwombscapeの看板曲「新世界標本」の時はギタリストのHirokiが見事にやらかしてくれた。何度も何度も返しのスピーカーに蹴りを入れ、勢い余って機材トラブルが起きたらアンプを思っきり叩き出すというブチキレっぷり。wombscape加入当初はそのポテンシャルの高さは十分感じさせていたが、どうしても固さが目立っていた彼のプレイだけど、その固さは完全に取れ、これまで在籍していたwombscapeの歴代ギタリストの誰よりも狂気と暴力性に特化したプレイを体現するという進化を見せてくれた。
 後半の新曲群もライブを重ねた事により、元々の魅力であるカオティックハードコア発、それらをズタズタにする事によって生み出すアーティスティックな物語を尖り切った音で血の色の油絵具を一面にブチ撒ける様な表現の暴力を生み出していた。
 今後も色々と動きや展開は多いと思うが、wombscape程、良い意味で先が予測出来ないバンドはいない。この偏執狂な表現衝動の行く先は当の本人たちすら分からないだろう。でもその新しくあり、異質な表現こそ何よりもwombscapeなんだと思う。



・REDSHEER

新感覚の激音を常に創造し続けるREDSHEERは現時点の最高とも言えるパフォーマンスを見せつけるライブをブチかましてくれた。
 常にその場にいる全員殺ってやるという気迫しか無いライブアクトはREDSHEERの大きな魅力であるが、看板曲「Silence Will Burn」から、久々にライブでプレイした「Blindness」、果ては新曲群含め現状のREDSHEERのベストと断言できる熱量と演奏の精度を新松戸で炸裂。
 複雑極まりないリズムチェンジを繰り返し、ギターの歪みからコード、低音域の一番エグい部分だけを弾き倒すベース、これだけ複雑なプレイをしているにも関わらず異常な重さと混迷を叩き出すドラムとメンバー3人の持つポテンシャルの一番濃い部分が異物感ゼロで自然なアンサンブルとして持続したまま、だけど負の感情を暴発させるダークハードコアなサウンドの殺気は加速していくばかり。蠢く黒を切り裂く激音の嵐の情報量は25分では全然足らない!!
 バンドが新たなモードに入って久しいが、この日はその先にあるうるさい音楽が好きな人間すら卒倒してしまう驚異の領域に彼らが手を伸ばしているのを体感させられるライブとなった。REDSHEERはまだまだこんな物じゃ終わらない!!



・ele-phant

 イベントも後半戦となりギターレスサイケデリック歌謡ドゥームと個人的に勝手に呼ばせて頂いているele-phantのライブへ。一曲目から「Black Room」でele-phantが誇るスーパーボーカリストことcomi氏が描き出すエロスと退廃の世界に引きずり込まれる。
 今後リリースされるであろう新曲もプレイされていたが、それらの楽曲はele-phantには最早ドゥームとかサイケデリックといった冠すら不要だという事を声を大にして言いたくなる物となっていた。メンバー3人のキャリアと文脈がより残刻なロマンとなって襲いかかかり、重い音よりも、エグい音よりも、その世界観をダイレクトに表現する歌とメロディこそが一番のヴァイオレンスである事をele-phantというバンドは証明しているのだろう。
 ベース一本だけでメロディもグルーブも美しさも重さも指揮者の様に変化させ、タイトなドラムが肉付けし、たった二人で完成したアンサンブルに乗るcomi氏の最高のボーカル。たったそれだけで生まれたのがele-phantの非現実的陶酔世界だ。異形なバンドばかり集まったこの日の新松戸の中で最も異端児でありながら、最もロックのエロスと言葉にしてはいけないロマンを間違いなく表現していた。



・The Donor

 金沢の誇りと断言したいヘビィロック番長The Donorはこの日もただ最高のライブをしていた!!サウンドチェックの時点で凄まじい爆音で耳がぶっ壊れそうになったが、ライブはこの日一番の音量で全てを破壊するヘビィロックを爆散させただけだった。
 The Donorの大名曲「Shine」からキックオフしたライブだが、数多くプレイされた今後リリース予定の新曲に加え、ニュースクールもドゥームもハードロックも、いや世界中のあらゆるヘヴィな音楽を喰らい尽くした上で「全員が最強にうるさい音を出していれば音量バランスなんてドンピシャになるんじゃ!!」と言わんばかりの爆音天国しか無かった。
 MC以外はノンストップでメドレーの如く繰り出される楽曲達。あらゆる文脈が見え隠れするサウンドでありながら、いざ吐き出される音を体感しても「ヘヴィロック」以外の言葉が果たして必要なのかと言いたくなる。
 それとThe Donorというバンドを海外バンドと比較するのは野暮でしか無いとも大声で言いたい。海外バンドに負けないタフネスだとか日本人独自の表現といった議論が全くの無意味である事をThe Donorのライブを観たら実感する筈だ。The Donorは世界で最もうるさくキャッチーでブチ切れた爆音をただ鳴らしているだけなんだから。ただ一言「最高」の言葉しか無いライブだった!!



・Jack The Stripper

 ライブもいよいよ終盤戦となりオーストラリアからの刺客Jack The Stripperのライブが始まった。
 昨年も来日公演を拝見させて頂いたが、正統派カオティックハードコアであり、ビートダウン大好き脳筋野郎な男気に惚れたが、一年の月日が経過し、Jack The Stripperはどうなっていたかと言うと清々しい位に何も変わっていなかった!!
 だが変わっていなかったのはあくまでもサウンドスタイルの話で、ライブバンドとしての無尽蔵な体力と筋肉は昨年より更にビルドアップを果たしてた。ビートダウンはよりエグい所を掻っ攫い、筋肉全開な刻みとビートは一撃必殺。メンバー全員の暴れ狂うライブパフォーマンスも昨年より更に制御不能な物であり、ただ痛快だ。
 MCでは気さくな兄貴感が出まくりなギャップにもやられたが、ライブ中はただただ凶悪な重低音だけを吐き出すモンスターっぷり。目の前で繰り広げられるカオスの連続は一転して男の花道を爆走するデコトラ野郎すらあって、男気とは国境を超え、国や民族関係なしに熱くなる物だと思った。
 時流に全く流されず、ただ爆音のヘヴィネスだけを放つJack The Stripperは昨年の来日公演以上に強靭なライブを展開していた!!



・NoLA

 そして長丁場となった今回のイベントを締めくくるのはJack The Stripperを招聘したNoLA!!5人になってから無敵の化物となったライブの凄さは当ブログでも何度も書いているが、今のNoLAは非の付け所なんて一個も無いライブを常に展開し、毎回最新のライブが過去最高のライブといった急成長を遂げている。
 長年不在だったベーシストという最後のピースにYutoが加わり、新曲はビートとリフと叫びの恐怖と爽快感の連続から一発で脳のこびり着くフレーズの数々とより一層メジャー感すら手にしている。
 トリッキーな事なんて何もしていないが、NoLA節としか言えないリフとビートとグルーブの一体感。「死と再生」を象徴する架空の生物にウロボロスという物が存在するが、今のNoLAは正にそのウロボロスと言っても良いだろう。
 一撃必殺の音で聴き手の肉体を粉砕して即死させるが、その死体に更にもう一発激音をお見舞いする事により、聴き手に新たなる価値観と刺激を与えて再生へと導く。固定概念を殺し、新たなる創造により再生を生み出すという循環がライブ中に何度も巻き起こり、五感と細胞が死と再生を繰り返す。それはNoLA自身にも言える事であり、何度も脱皮を繰り返し、より巨大生物へと進化を続けていく。
 そんな事を思いながらライブを観ていたが、その二日後の東高円寺二万電圧にて、それすら思い違いであった事を僕は痛感する事になる…



 かなりの長丁場ではあったが都内からはるばる新松戸まで足を運んだ価値は十分過ぎる程にあった。「EXTREME MAD TERROR」という新松戸から新たなるエクストリームミュージックを爆散するこのイベントは毎回毎回現場に足を運んでこそ見せるリアルが存在するイベントであり、これは少しでも多くの激音フリークに体感して欲しいカタルシスが存在している。今後も都内から新松戸へと足を運ぶでしょう。
 そしてその二日後のJack The Stripper来日ツアー最終日である東高円寺二万電圧にて、更なる事件が起こるが、その時の模様はまた後ほど記させて頂く。
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